津波防災教育カリキュラム
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中学校(5-1)
U.対処行動を知る  B.津波からの避難方法を知る
指導する学年  中学生
指導する時間  学級活動
指導する時数  1時間
目標
 津波避難三原則の意味を理解する。
 津波避難三原則を踏まえて、津波浸水予測図の活用を考えることができる。
展開
学習活動と内容
主な発問・指示(◇)、予想される子どもの反応(・)など
指導上の留意点
支援(〇)、評価(☆)、参考(●)など

学習課題「津波浸水予測図をどう活用すればよいか」を理解する。
津波浸水予測図を読み取ってみよう。
<地域の津波浸水予測図(拡大)を提示>
紫・・・5.0m以上
赤・・・3.0m以上−5.0m未満
橙・・・2.0m以上−3.0m未満
黄・・・1.0m以上−2.0m未満
緑・・・0.5m以上−1.0m未満
水色・・・0.5m未満
大きな地震が発生し大津波警報が発令されたときに、赤色に着色された場所A、緑色に着色された場所B、着色されていない場所Cにいるとしたら、それぞれどんな行動をするだろうか。
AやBの場所にいたら、Cの場所へ避難する。
Cの場所なら安全
学習課題 『津波浸水予測図の活用方法について考えよう。』
導入として、南海・東南海地震が定期的に来ていることを話し、近いうちに大地震が来るかもしれないという危機感を持たせる。
校区の津波浸水予測図があれば提示する。
生徒が具体的な場所をイメージできるように、一部を拡大したものをスライドや黒板掲示として提示する。
校区に津波による浸水が想定されていない場合は、校外学習等で出かける可能性のある地域の津波浸水予測図を用いる。
近隣の市町村を見比べてもよい。
各市町のハザードマップを使用してもよい。
マグニチュード8.6の東海・東南海・南海地震が同時発生し、津波が来襲した場合を想定して作成されているものであることを知らせる。
着色されていない部分は津波による浸水が想定されておらず、この図からは安全なイメージを受けることを確認しておく。

東日本大震災発生時における釜石東中学校の事例に学ぶ。
「東日本大震災で被災した釜石市鵜住居(うのすまい)地区の浸水予測図」はどのように作られていたのでしょうか。
明治及び昭和三陸津波や昭和35年のチリ地震津波の浸水域をもとに作成されています。
丸数字は一次避難所を示しています。
「東日本大震災による死者・行方不明者居住地分布」のような状況になったのはどうしてだろうか。
津波浸水予測図で安全だと考えてその場所にとどまった。
これまでの津波で浸水したことがなかったので安全だと考えていたのではないか。
釜石東中学校と鵜住居小学校は、浸水予測範囲の外側にあります。小学校の校舎は津波でこのような状態になってしまいました。当日、児童や生徒はまだ学校にいたそうです。この津波で、子ども達や先生はどうなったと思いますか。
多くの犠牲者が出たのではないか。
何人かは犠牲になったのではないか。
他の場所に避難できたのだろうか。
想定をはるかに超える大津波に襲われながら、両校の児童生徒が全員無事であったことは、新聞でも大きく報道されていました。このときの避難の様子を見てみましょう。
<【資料-515】〜【資料-519】を提示 >
海の近くにある中学校の生徒が、すぐに避難するように伝えながら、あらかじめ決めていた避難場所まで避難した。
中学生が避難している様子をみて、小学生も避難を開始した。避難場所で、幼稚園児も合流した。
津波避難所になっている介護福祉施設に到着するが「まだ危険だ」と判断し、次の避難場所へ避難を開始した。
さらに危険を感じた生徒達は、さらに高台へ避難した。
最後に石材店に避難していった。
津波は、介護福祉施設の直前までやってきた。
児童生徒たちが全員無事だった理由を考えてみよう。
中学生が小学生に避難するように指示した。
当初、想定していた避難場所でも危険だと判断できたことが大きな原因だ。
想定にとらわれず、状況を判断しながら行動した。
日頃から避難訓練や防災学習を積み重ねていた。
津波浸水予測図をどう活用すればよいかを考え、意見を交流する。
津波浸水予測図はある方がよいですか、ない方がよいですか。津波避難三原則を踏まえて考えてみましょう。
<1 ある方がよい>
災害発生の目安になる。
昔の津波被害の経験を活かせる。
<2 ない方がよい>
釜石市の状況をみると、ない方が良かったと思う。
信用してはいけないものは、作っても仕方がない。
<3 わからない>
ある規模の津波を想定した図ということを、考えて活用しなければいけない。
 
【資料-511】釜石市鵜住居地区津波浸水予測図を提示する。
これまでに大きな被害をもたらした津波による浸水域をもとに作成されていることを知らせる。
【資料-512】釜石市鵜住居地区 死者・行方不明者居住地分布を提示する。
赤や黄色の部分では死者はおらず、浸水が想定されていない場所で多くの死者が出ていることに気付かせる。
【資料-513】釜石市立鵜住居小学校の被災写真を提示する。
前出の【資料-512】で、両校の位置を確認する。また、小学校は3階建ての鉄筋校舎で、耐震工事を済ませて間もなかったことを知らせる。
数人に発表させた後に、全員無事であったことを知らせる。
必要に応じて副教材を使用して学習してもよい。
【資料-514】実際の避難経路を提示し、【資料-515】〜【資料-519】を順に見せながら、子どもたちの避難の様子を説明する。
【資料-515】当初、想定していた避難場所 (津波で被災)
【資料-516】小学生を連れて避難する釜石東中学校の生徒。
【資料-517】子どもたちが介護福祉施設に到着した直後の様子。津波はこの数分後に施設のすぐ近くにまで到達した。
【資料-518】最終的には子どもたちは石材店に避難した。介護福祉施設のすぐ近くまで被災した状況を読み取ることができる。
【資料-519】2回目の避難場所の介護福祉施設。右下の写真は、この施設から、子どもたちが避難して来た道路を撮影したもので壊滅的な被害を受けている。
率先避難についての具体的な話、資料等を用いて学習してもよい。
必要に応じて副教材を使用して学習してもよい。
提示された情報をもとに発言するようにさせる。
生徒の発言を整理しながら、津波避難三原則を示し、【ワークシート-51】に記入させる。
・想定にとらわれるな。
・最前を尽くせ。
・率先避難者たれ。
釜石東中学校の生徒は、防災学習の中で、津波避難三原則を徹底して学んでいたことを知らせる。
津波浸水予測図の想定を再度確認する。
和歌山県総合防災課のホームページにも、「これ(この想定)を上回る規模の地震や津波が発生する可能性もありますので…」と書かれていることを知らせる。
【ワークシート-51】に記入させる。
挙手で立場を明確にさせた後に、理由を発言させる。
発言が一方に偏る場合には、【資料-512】を再度提示し、津波浸水予測図の利点と問題点の両面にわたる意見が出るように配慮する。
問題点:津波浸水予測図の想定にとらわれて
    しまう。
利点:過去の津波の経験をもとに災害の規模
   をとらえる目安となる。
津波浸水予測図は、避難訓練を計画したり図上演習を行ったりする場合に参考になる。別途実施する、これらの活動において、津波浸水予測図の利点や必要性を気付かせる。


授業を振り返り、考えをまとめる。
ワークシートに授業の感想を書きましょう。
【ワークシート-51】に記入させる。
津波避難三原則を理解できたか。
津波浸水予測図は安全を保証するものではなく、ある想定に基づいて作成されたものであることを理解したうえで、その活用を考えることができたか。
釜石の新聞記事等を活用してもよい。
備考
各地の津波浸水予測図(平成17年3月作成)は、資料を参照のこと
和歌山市【資料-451】〜【資料-458】 ・・・串本町  【資料-485】〜【資料-490】
海南市 【資料-459】〜【資料-460】 ・・・那智勝浦町【資料-491】〜【資料-493】
有田市 【資料-461】〜【資料-462】 ・・・太地町  【資料-494】         新宮市【資料-495】
(和歌山県情報館:総合防災課:和歌山県津波浸水予測図:県全域図)
その他資料(出典)
【資料-511】〜【資料-519】:群馬大学大学院片田敏孝教授提供
副教材例「津波防災啓発ビデオ『津波からにげる』」(企画・制作:気象庁 制作・協力:東映株式会社)
「鵜住居 避難経路を車が走った動画」(YouTube)http://www.youtube.com/watch?v=pbgU9Ad97wU
「鵜住居 避難経路を人が走った動画(検討中)」(群馬大学大学院 片田研究室)
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