平成15年5月に発生した三陸南地震は、東北各地で震度4〜6弱を観測する大きな地震ではあったが、大規模な津波は発生しなかった。気象庁からは地震発生から約12分後に「津波による被害の心配はない」とする情報が発表されたが、その間、住民に対して津波が来るか否かを明確に判断できるような情報は伝達されていない。しかし、地震発生からわずか5分で津波が到達した例もあり、津波警報や避難勧告などの情報が発表されなくとも、地震の発生とともに津波襲来を想起し、万一の事態に備えて安全な場所へ迅速に避難をすることが望ましい。
本調査は,地震の発生から「津波による被害の心配はない」という情報が発表されるまでの12分間に着目し、住民の避難行動とその意思決定に影響を与えると思われる要因(地震のゆれに対する認知,情報取得,危機意識,津波に関する知識等)を詳細に調査し、その調査データをもとに相互の関係構造について分析することを主な目的としている。