中央省庁では、平成16年の度重なる豪雨災害を教訓に、災害情報のあり方を見直し、土砂災害警戒情報や河川水位に関する用語の変更などのいくつかの施策を実施してきた。奇しくも、群馬県内におけるこの度の台風第9号の襲来は、これらの新たな施策が全国でも初めて本格運用された事例となった。また、ここ数年近隣県で災害が多発しているなかで、大きな被害に見舞われていなかった群馬県においては、久しぶりの大災害となった。そのため、この度の災害時の状況を記録にとどめ、その情報を関係機関で共有することにより、近年進められてきた種々の防災対策がどれほどの効果を発揮したのかを把握すると共に、今後どのような対策が必要であるのかを検討する良い機会と言える。
以上のような観点から、この度の災害時に対応された群馬県内の関係機関が持つ情報や問題意識の共有化を図ることを目的として、調査研究会を立ち上げた。本報告書は調査研究会を通じて取りまとめた成果であり、その内容は、この度の災害を事例に、今後災害が発生した際に、防災関係機関がどのような対応をとるべきなのかを検討するためのテキストとして活用できるものとした。そのため、この度の災害によって群馬県内でどのような被害が生じたのかを詳細に記すことはせず、どこにアクセスすればどのような情報を入手することができるのか、災害進展時の各段階でどのような情報に注意すべきなのか、といった具体的な情報を記載している。本報告書が、防災担当者、防災に関心のある一般住民の方々に活用して頂けるのであれば、望外の幸せである。