(本シミュレータに取り込まれている新たな機能や技術についてデモ動画を紹介します)
住民の避難意思決定モデル
災害情報が的確に伝えられたとしても全ての住民が避難するとは限りません。これまでの調査結果から、各住民は過去の経験や災害に関する知識、そして災害に対する意識などの違いが避難行動に影響をもたらすことが明らかとなっています。
災害総合シナリオ・シミュレータでは、このような住民の避難行動を現実的に表現するため、避難意思決定モデルを導入しています。このモデルを利用することによって、評価することが困難な防災教育などのソフト対策の効果を被害者数などの具体的な指標によって評価することが可能となります。
機能の詳細
本機能は、アンケート調査から得た住民の意識や属性、そして災害時の周囲の状況から各住民の避難行動を推定する統計的なモデルを構築することによって実現しています。モデルに用いられる個人の属性や状況には以下のような項目があります。
地震動
・体感震度
情報
・避難勧告の取得の有無
・避難の勧誘の有無
意識
・平常時の津波危険度意識
・正常化の偏見度
場所
・地域危険度
経験
・津波で被害を受けなかった経験の有無
デモンストレーション
アニメーション
以下のような災害教育を実施した場合のシミュレーション結果(wmv形式)を閲覧することができます。
       
(1) 現在の状態(2) 『正常化の偏見度』を改善した場合
       
(3) 『平時の津波による身の危険度意識』を改善した場合(4) 『正常化の偏見度』と『平時の津波による身の危険度意識』
の両方を改善した場合
計算条件

このシミュレーションは、以下の条件で計算を行っています。

・午前8時に中央防災会議想定の東南海・南海連動型地震が発生します。

・地震発生から9分後に屋外拡声器と広報車による情報伝達、10分後にマスメディアからの情報伝達が行われます。

・選択された災害教育シナリオに沿って以下に示す住民の意識が改善された状況を表現します。
 『正常化の偏見度』:平時の災害意識と実際の災害時の意識に差が少ないほど避難を実施する傾向が見られます。
           ここではこの差を正常化の偏見度と定義しています。
 『平時からの津波による身の危険度意識』:平時から津波によって身に危険が及ぶと思っている住民ほど避難を実施する傾向があります。

※このシミュレーションでは、財団法人日本気象協会によって計算された津波氾濫解析の結果を利用させて頂いています。
参考文献