地震により発生する家屋倒壊は、倒壊した家屋や家財による圧死などの直接的な人的被害をもたらすことに加えて、隣接する道路の閉塞を誘発するという危険性を持ちます。したがって、地震発生後の津波避難までを考慮すると、家屋倒壊は、迅速な住民避難を妨げる間接的な被害をもたらします。
災害総合シナリオ・シミュレータでは、このような地震による家屋倒壊や道路閉塞の状況を表現するモデルを導入しています。このモデルを利用することによって、地震による直接的な人的被害に加えて、道路閉塞により避難が遅延したり不能となることによる人的被害への影響を評価することが出来ます。
現状の耐震化状況を再現した場合 | 耐震化されていない建物の50%を耐震化した場合 |
全ての建物を耐震化した場合 | 家屋倒壊を発生させない場合 |
このシミュレーションは、以下の条件で計算を行っています。
・中央防災会議想定の東南海・南海連動型地震(震度6強)が発生します。
・地震発生から3分後に屋外拡声器と広報車による情報伝達、5分後にマスメディアからの情報伝達が行われます。
・全住民が、地震または避難情報の取得によって避難を決意し、その5分後に避難行動を開始します。
・各住民は、自宅からもっとも近い避難場所または高台に避難します。
・防波堤等は機能しないものとします。
・耐震化されていない建物とは、1981年(昭和56年)に施行された新耐震法以前に建築された建物を示しています。
ただし、本シミュレーションで考慮しているのは、地区毎の築年数階級の構成比のみであり、建物毎の実際の築年数を考慮しているわけではありません。