津波防災教育カリキュラム
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中学校1・2・3年生(2)
U.対処行動を知る  E.避難できない人間の心理を知る
指導する学年  中学生
指導する時間  学級活動
指導する時数  1時間
目標
 防災についての知識があっても行動できない人間の心理を理解したうえで、災害発生時に率先して避難行動する意識を持たせる。
展開
学習活動と内容
主な発問・指示(◇)、予想される子どもの反応(・)など
指導上の留意点
支援(〇)、評価(☆)、参考(●)など

日常のいろいろな状況を想定して、そのとき地震が発生したらどうするのかを考える。
今、非常ベルが鳴ったら・・・どうしますか?
放っておく。(何かの間違いだろう、悪戯かも)
みんなが避難するようなら避難する。
先生の指示があるまで待つ。
すぐに避難する。
学習課題 『避難できない人間の心理について、
                   理解しよう。』
アイスブレイクとして意見交換を行う。避難行動を起こそうとしない生徒が多いと考えられるので、その理由も述べさせ、学習課題を考える際の材料とする。

災害時に避難行動を阻害する心理を考える。
平成16年9月5日に紀伊半島沖で地震が発生し津波警報が発令されましたが、避難勧告が出たにもかかわらず避難しなかった人がたくさんいました。なぜ避難しなかったのだと思いますか。
<正常化の偏見>
大したことないだろうと思った。
自分だけは大丈夫と考えた。
<集団同調性バイアス>
みんな避難しなかったから。
<エキスパート・エラー>
専門家などが大丈夫だといったから。
<経験にとらわれる>
以前の地震では津波はここまでこなかった。
<【資料-524】〜【資料-526】を提示>
正常化の偏見とは、「思い込みによって頭が非常事態であるという認識に切り替わらない状態のこと」
集団同調性バイアスとは、「多数派意見が正しいと思い込むこと」
エキスパート・エラーとは、「専門家の指示をうのみにしてしまったことによって招いた最悪の結果のこと」
これらの心理の中で、自分に当てはまると思うものはありますか。
どんな状況であれば避難行動を起こせるでしょうか。グループで話し合ってみよう。
避難している人がいれば、自分もついていける。
東日本大震災を思い出して、最悪を考えて行動する。
想定や経験にとらわれない。
この授業での学習を踏まえたうえで、実際に大津波警報が発令されたとき、あなたはどのようなことが心配ですか。
避難行動をとれるだろうか。
親や先生に「待機しよう」と言われたら行動しないかもしれない。
周りの人の行動の影響を受けてしまいそう。
不安はない。
 
【資料-521】2004年9月5日紀伊半島沖の地震
【資料-522】2004年9月5日紀伊半島沖の地震:津波避難率
【ワークシート-52】に記入させる。
発言が出尽くしたところで、【資料-523】避難しなかった理由を提示する。
【資料-523】の理由や、生徒の発言をとらえながら、災害発生時の人々の心理を、【資料-524】〜【資料-526】を用いて整理する。
挙手で自分に当てはまる内容を確認させることによって、災害時に誰もが陥りやすい心理状態であることを実感させる。
避難行動を妨げる要因は、この他にも考えられる。
【ワークシート-52】に記入させる。
4名程度のグループで意見交換させたあと、全体で考えを共有させる。
災害時に陥りやすい心理を踏まえて考えるようアドバイスする。
いずれも、津波避難三原則に帰結することを気付かせる。
【資料-527】率先避難者 三重県尾鷲市の例
平成16年の地震では、三重県尾鷲市のある地域では、率先避難者がいたため、他地域よりも避難率が高かったことを知らせる。
また、東日本大震災では、釜石東中学校の生徒が、小学校の生徒や地域の住民に対する率先避難者であったことを復習する。
頭で理解していても行動に結びつけるのは簡単ではないという発言を認めつつ、災害時には率先して避難行動をしようとする意欲が大切だという意識を持てるよう励ます。
和歌山県における津波に関して、次の特徴を伝える。
⇒地震発生場所が陸地に近い和歌山県では、地震発生から津波到達までの時間が非常に短い。
⇒また、大津波を引き起こす長い周期で揺れる地震は、場合によっては大きく揺れていることを認識できない場合がある。
⇒「大きな揺れを感じたらすぐに避難する」とともに、「たとえ揺れを感じなくとも大津波警報が発令されたらすぐに避難」することが極めて重要である。


授業を振り返り、考えをまとめる。
ワークシートに授業の感想を書きましょう。
さて、今、非常ベルが鳴ったらどうしますか。
【ワークシート-52】に記入させる。
災害時に陥りやすい心理を理解できたか。
これらの心理を理解したうえで、災害時に率先避難者として行動しようという意識を持てるようになったか。
発問を投げかけるだけに留め、実際に避難行動をとることの難しさを再度認識させる。
備考
資料を拡大し黒板に提示、印刷して配布するなどして活用してもよい
その他資料(出典)
【資料-524】〜【資料-526】:山村武彦「人は皆『自分だけは死なない』と思っている」(2005宝島社刊)
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