(本研究室で独自に開発したシミュレーションシステムの概要や活用事例について紹介します)
住民の避難開始タイミングの違いによる被災者数の軽減効果を検証した事例について紹介します
検討シナリオ
背景
津波常襲地域では、「揺れたら、すぐに避難」する必要があることは、多くの住民が知っています。しかし、近年の地震発生時および津波警報発表時の住民の対応行動を見ていると、地震発生後の迅速な避難が適切にできているとは言い難い状況にあります。
目的
ここでは、避難開始タイミングを早めることで、どの程度被害軽減効果があるのかを検証した結果を例示します。
検証したシナリオを以下の通りです。
                                          
シナリオ
No.
避難開始のきっかけ避難開始タイミング被害者数
(1)情報取得後20分3,201人
(2)情報取得後10分129人
(3)情報取得後0分20人
(4)地震発生後5分0人
アニメーション
       
(1) 地震発生後、情報を取得して20分後に避難を開始(2) 地震発生後、情報を取得して10分後に避難を開始
(3) 地震発生後、情報を取得してすぐに避難を開始 (4) 地震発生後、5分で避難を開始(情報を待たない)
計算条件
このシミュレーションは、以下の条件で計算を行っています。
設定項目 設定値またはパターン
情報伝達 屋外拡声器 基本 設置数:71基,音声到達範囲:250m,聴取率:30%
タイミング 発令3分後から5分間隔で10回
広報車 基本 台数:20台,音声到達範囲:250m
聴取率:30%,移動速度:20q/h
タイミング 発令3分後に出動
マスメディア 基本 視聴率:30%
タイミング 発令1分後から5分間隔で10回
住民間 電話の利用 通話成功確率:50%
避難行動 避難先 指定避難場所または、
標高30m以上か海からの距離が2q以上の場所
避難場所数 指定避難場所:64箇所
一時避難場所(内陸部・高台など):181箇所
避難経路 自宅から避難場所までの最短経路
津波 発生規模 東海・東南海・南海連動型地震によって発生する津波
(尾鷲港の場合、地震後約20分で約5mの津波が襲来)
※ 三重県より提供された津波氾濫解析結果(格子間隔50m)を尾鷲市の潮位に合わせて補正したものを利用しています。