(日本国外において実施した調査研究プロジェクトの概要を紹介します)
概要
日本で開発された防災教育技術を海外に適用することを試みました.防災教育を実施したのは,セントビンセント(SVG)とタークス&ケイコス(TCI)の2カ国です.具体的な内容は下表に示す通りで,1校につき2日間のプログラムで実施しました.
この取り組みでは,すごろくとクイズをセットにした防災教育ルーツ(DAG:Disaster Awareness Game)を開発し,それを使って子どもたちには遊びながら,災害に関する知識を習得してもらいました.DAGは,3〜4人を1グループとして,すごろくと同じ要領で順番にサイコロをふり出た目の数だけ進み,最初にゴールした人が勝者となるゲームです.なお,とまったマスに災害の写真が記されていた場合には,その災害のカードを引き,クイズに答えてもらいます.クイズに正解すれば一マス進み,不正解であれば二マス戻ります.また,クイズの解答はスコアシートに記入してもらい,防災教育実施前後で正解率を比較することで,防災教育実施効果を計測しました.
図1 カリブ海諸国で実施した防災教育プログラムの概要
図2 DAGのボード
図3 DAGのクイズカード
写真1,2 SVGにて防災教育を実施している様子
写真3,4 TCIにて防災教育を実施している様子
取り組み実施効果の計測
DAGのスコアシートを集計した結果,TCIについては,防災教育の実施前後において正解率が高くなっているものの,SVGについては低くなってしまいました.この理由は,SVGにおいて本取り組みを実施した学校の児童は識字率が低かったため,DAGカードを読むことができない児童が半数ほどいたことが原因と考えられます.海外で取り組みを実践する場合には,相手国の文化や状況をよく把握することの重要性を改めて実感しました.
図4 DAGカードの正解率の比較