(日本国外において実施した調査研究プロジェクトの概要を紹介します)
概要
2009年1月4日〜11日にかけて、片田教授、金井助教、児玉研究員で、海外における地域防災のあり方、人々の防災の捉え方の違いなどを把握すべく、中米のコスタリカを現地踏査しました。現地踏査の最中、1月8日に発生したコスタリカ地震に遭遇し、現地住民の地震災害に対する反応や現地の被災状況をみる機会を得ました。
また、現地踏査では、JICAの川東さん、現地コーディネーターのFrankさんにも同行いただきました。
2009.1.5 Lagarto
漁村の村Lagartoは交通機関等のインフラが未整備の状態である。その村の住民が今抱えている問題として捉えているのは海の異常に関わる自然現象としてであり、その中の一つのメニューとして津波災害があるといった様子であった。2007年ペルー地震津波の際は、漁村の地域住民全員が高台の地域へ避難したという。この地に対し、我が国は防災として何を支援すべきなのか、考える契機となった。
写真1 漁村 Lagarto                 写真2 外で談話していた村人に話を聞く
写真3 地域のリーダー的存在 クィーコさん
2009.1.6 Bambu地区
ニカラグアなどから移民してきた貧しい人々の住家が、川の氾濫により毎年のように浸水する建築無許可地域に並んでいる。相当低い生活水準であり、日々の生活で精一杯の人々に対し、時々生じる災害に備えることを要求することに対する疑問を感じざるを得ない状況であった。
写真4 建築無許可地域に立ち並ぶ住家      写真5 ニカラグアから移住してきた女性 貧困・差別に苦しむ
2009.1.7am Hotel地区
地域住民が自身で防災マップや地域防災計画を作成するなど、コミュニティ防災については申し分ない状況であり、むしろ我が国が地域防災として学ばなければならないことが多いように思えた。
写真6 ホテル地区の防災員宅 庭にサイレンが設置されている
写真7 地域の防災マップ                写真8 住民が作った手書きの地域防災計画
2009.1.7pm Puntarenas
この地域は、砂州状の半島が10km以上にわたって続く低平地である。しかし、津波避難施設として利用できそうな高い建物は無かった。幸いにも地域住民の津波意識が低く、「津波は来ないだろう」「どうにかなるだろう」と不安に思っていないからこそ、ここに住めるのだろうと思った。
写真9 津波避難施設として利用できそうな建物が無い
2009.1.8 San Jose
コスタリカの首都San Joseを現地視察中、地震が発生した。San Jose市街地は一時騒然とした。
写真10 San Joseの公園 避難した人で騒然としていた      写真11 倒れ込む男性
2009.1.9〜10 地震被災地調査
地震発生の翌日、震源地付近を現地踏査した。地震による家屋被害や道路損壊被害のほとんどは、地震の揺れによるものというよりも、土砂崩れに起因するものであり、土砂災害対策を推進していく必要性を感じた。
【2009.1.9am Fraijanes】
写真12 土砂崩れで家屋が浮いた状態に          写真13 避難場所の様子
写真14 Fraijanesにあった喫茶店の厨房の様子
【2009.1.9pm Vara Blanca】
写真15 被災地に向かう車の列 道路の各所に亀裂があった  写真16 あらゆる機関の人々が被災地に集結し、物資を届けていたりした
【2009.1.10 Cariburanco〜Cinchona】
写真17 土砂崩れにより崩壊した家屋        写真18 Cinchonaに向かう途中 土石流の跡