平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震津波によって、約2万人が犠牲、または行方不明となりました。私たちの住む尾鷲市にも、近い将来、必ず巨大地震津波が襲来します。そのとき、尾鷲市の子供たち、そして地域住民から一人の犠牲者もださないためには、日頃からの備えが必要不可欠です。そこで、尾鷲市では、巨大津波の襲来に備えて、児童・生徒に『自分の命は自分で守ることのできる知恵』をつけることを目的とした津波防災教育を実践していくことになりました。
そこで、尾鷲市教育委員会は市内各校の教員と協力して、以下に示す『津波避難の3原則』を踏まえた具体的な教育内容を検討し、『津波防災教育のための手引き』としてまとめました。今後、この手引きを活用し、『海に面した尾鷲市で暮らしていくための姿勢』を与えるための防災教育を実施していきます。
【津波避難の3原則】
想定を信じるな
「相手は自然であって、どのような大きさの津波が来るのかはわからない」
だから、ハザードマップ等に記された想定津波浸水域を鵜呑みにしないこと
最善を尽くせ
「そのとき、できることは、とにかく少しでも安全な場所に避難するだけ」
だから、予め決めた避難場所に避難して、そこで安心することなく、
もっと安全な場所まで避難することができるのであれば、そこまで避難すること
率先して避難せよ
「いざというとき、人間は簡単には避難することができない」
だから、まず自分が率先して避難できるように、日頃から準備しておくこと
誰かが避難すれば、それが周りの人の避難を促すことにつながります
また、本手引きは、「地震や津波について学校で学習することは当たり前である」という認識を児童・生徒がもつことができるようにするために、学校教育の様々な場面で津波防災教育をおこなうことを念頭において作成しています。そのため、他のテキストとは異なり、以下のような特徴があります。
【本手引きの特徴】
各教科の教育内容から“地震・津波・防災”に関連する単元をピックアップ
その授業の中で追加的に教えることが可能と思われる内容を取りまとめた。
学年進行に応じた教育内容を精査し、授業計画案を作成
児童・生徒の理解力に応じて、教育目標ごとの授業計画案を取りまとめた。
尾鷲市では、小中学校での津波防災教育を継続していくことにより、『尾鷲に住むことは津波に備えるのは当たり前』という災害文化を形成するとともに、『津波はたまに来るけど、尾鷲はこれほどまでに魅力的な郷土である』という郷土愛を育んでいきたいと考えています。